テイスティングシートの用語解説

目次

テイスティングシートを楽しもう

日本酒をもっと深く味わい、楽しむための手段として、「テイスティングシート」を活用する方法があります。テイスティングシートとは、見ため・香り・味わい、などを項目ごとに記入し、自分の感じたことを整理しながら日本酒を楽しむためのシートです。このシートを使うことで、何気なく飲んでいたお酒に新たな発見が生まれ、味わいが立体的に見えてくるでしょう。

テイスティングシートを始める時は、見る・香る・味わうの3ステップで進めていきます。

  • 見る(外観)・まずは見た目の情報から読み取っていきましょう。
  • 香る・外観のチェックが終わったら次は香りを嗅いでみましょう。
  • 味わう・最後に口に含んで、味の確認です。

難しく考えることはなく、まずは直感でチェックしていきましょう。回数を重ねるごとにに感じる取れるものが増えてきたり、関連性のある選択肢が見えてくると思います。

本記事では、テイスティングシートの用語解説をメインに、判断する時のポイントやコツをご紹介します。

*用語の解釈・判断ポイントなど全て個人の感想です

外観

外観は3項目あり、全て見た目で判断していきます。

特に難しいことはなく、見たままの状態を判断しています。

清澄度

透明度を判定する項目。

  1. 透明感がある・一般的な清酒は全てここ。古酒などで着色があってもこちらを選択しています。
  2. 霞んだ・うす濁りの清酒
  3. 濁った・濁酒(どぶろく)

色の濃淡は次項にあるので、ここでは透明度のみに注目。

濃淡

色の濃淡を判定します。

  1. 無色に近い・ほぼ透明な状態..
  2. 淡い・着色が疑われるレベル
  3. やや淡い・着色を感じられるレベル
  4. やや濃い・明確な着色を感じられるレベル
  5. 濃い・一般的な清酒のイメージを超えた着色

グラスの後ろに白い紙などを当てると判別がしやすいです。

色調

色調を判定します。

  1. クリスタル・無色透明
  2. シルバー・輝きがある
  3. グリーン・青みを感じる
  4. イエロー・ゴールドより薄い色調
  5. ゴールド・黄金の輝き
  6. トパーズ・ゴールドより濃い色調
  7. オレンジ・夕焼けのような感じ
  8. ブラウン・清酒のイメージを超えた色調

一般的な清酒で、ゴールドまでで判定。

1〜8の順番で色調の黄色が強くなるイメージです。
テイスティングシートの順番は1〜8の順番ではないので注意が必要。

香り

香りは『第一印象』と『特徴』の2項目で、清酒を表現する核となる部分です。

多くを感じ取るにはある程度トレーニングが必要
意識しないで飲んでいるだけでは、多くの香りの違いを見つけるのは難しいでしょう。
しっかりと香りの違いや特徴を捉える意識を持って、日頃のテイスティングに挑みましょう。

最初は多くの香りを細かく判別するのは難しいと思います。なので、ざっくりと「果実感・フルーティーさ」・「花・フラワリー感」・「ナッツ・スパイシー感」・「米・乳製品」など大分類で香りを感じ取れるようになってから、テイスティングシートの選択肢のように細分化された香りを判定していく方法がいいと思います。

第一印象

香りの第一印象。

  1. 若々しい・清涼感(青竹の香り)
  2. さわやかな・清涼感(新緑の香り)
  3. 華やかな・吟醸香を感じる(果実や花の香り)
  4. ふくよかな・米を感じる香り(お米の香り)
  5. 芳醇な・米を感じる(乳製品の香り)
  6. おだやかな・香りが強くない時
  7. 熟成香を感じる・ナッツやスパイシーさ

大きく吸い込むよりも、細かく数回嗅ぐ方が香りを感じ取りやすいです。

特徴

どのような清酒なのかを表現するメイン項目です。

味の感じ方や表現には個人差があり、共通した感覚を得るには他者が感じ取る『特徴』も勉強する必要があります。

大分類化したので、まずは、大分類の香りを感じ取ってみましょう。その後に、各用語に当てはまる感覚を探してみましょう。

果実系

果実の様な甘い香り

  • グレープフルーツ・柑橘系の香り
  • 黄色いりんご・甘酸っぱく爽やかな感じ
  • 洋ナシ・芳醇な甘い香り
  • 白桃・上品な甘い香り
  • バナナ・熟成してクリーミーな甘みを感じる
  • メロン・みずみずしい香りと、グリーン香
  • マスカット・フレッシュでグリーンな印象
  • パイナップル・南国を感じさせる香り
  • ライチ・妖艶な甘い香り

花・植物系

花をイメージする甘い香り

  • スイカズラ・甘い花の香り(弱)
  • スミレ・甘い花の香り(中)
  • アカシア・甘い花の香り(強)
  • 菩提樹・妖艶な花の香り
  • セルフィーユ・ハーブ・グリーン香(弱)
  • 青竹・グリーン香(弱)
  • 新緑・グリーン香(強)
  • 紅茶・甘く落ち着きのある感じ
  • 月桂樹の葉・ハーブ・グリーン香(強)
  • ヒノキ・木質系の香り(弱)
  • 香木・木質系の香り(強)

ナッツ・スパイス系

爽やかではない落ち着いた感じ

  • ゴボウ・乾いた土をイメージするような香り(弱)
  • 朝鮮人参・漢方をイメージする香り
  • マッシュルーム・湿った土をイメージするような香り(弱)
  • 椎茸・土をイメージする香り(強)
  • 丁子・スパイス香
  • シナモン・甘いスパイス香
  • ビターチョコレート・苦味を感じる香り(弱)
  • ・はっきりとしたお米の香り(弱)
  • クルミ・甘味とロースト感のある香り(弱)
  • アーモンド・苦味とロースト感のある香り(弱)

米・乳製品

お米や酸味を感じる香り

  • 炊いた米・はっきりとしたお米の香り(中)
  • つきたての餅・はっきりとしたお米の香り(強)
  • 上新粉・ほのかなお米の香り(弱)
  • 白玉団子・ほのかなお米の香り(強)
  • 杏仁豆腐・クリーミーで重さを感じる甘さの香り
  • 生クリーム・甘みをともなった乳製品の香り
  • サワークリーム・酸味をともなった乳製品の香り(強)
  • ヨーグルト・酸味をともなった乳製品の香り(弱)
  • 発酵バター・濃厚で重さを感じる乳製品の香り(弱)
  • クリームチーズ・軽やかな乳製品の香り

その他

不快ではない変わった香り

  • 粘土・重さを感じる土の香り
  • 腐葉土・湿った森の中を連想させる香り
  • 石灰・チョークの香り
  • カラメル・甘みとロースト感のある香り(強)
  • コーヒー・苦味を感じる香り(強)
  • 醤油・苦味とロースト感のある香り(強)
  • ヨード香・正露丸のような香り
  • 蜂蜜・濃厚な甘さを感じる香り
  • スモーク香・煙・燻製をイメージする香り

劣化臭

不快な香り

  • カビ・ジメジメした不快な香り
  • タマネギ・おならのような不快な香り
  • 熟成チーズ・濃厚で重さを感じる乳製品の香り(強)

『特徴』の項目ですが、ただ酒器から香る「上立ち香」だけじゃなく、口に含んだ時に鼻からぬける香りの「含み香」や、口から無くした後に残った香りの「残り香」なども判定基準になると思うので、「上立ち香」だけで全て判定する必要はないです。
次項の『味わい』が終わった後に、特徴を追加するのもありだと思います。

味わい

味わいの各項目の選択肢は多くないですが、6項目と項目数は多めです。

『香り』はトレーニングですが、『味わい』は経験だと思います。
どの感じが『甘み』・『酸味』・『苦味』なのかを知り、味のレンジを知り、今、口に含んでいる清酒の強度を経験から導き出すことになるからです。

第一印象

口に含んだ時の味の強弱で判定します。

  1. 軽い・あまり味を感じない
  2. やや軽い・薄味
  3. やや強い・しっかり味を感じる
  4. 強い・濃い味

味が薄いか濃いかの感覚に近いのです。

甘み

甘みの強弱で、弱い〜強いで判定します。

  1. 弱い・甘さレベル1
  2. 上品な・甘さレベル2
  3. まろやかな・甘さレベル3
  4. ふくよかな・甘さレベル4
  5. 強い・甘さレベル5

甘みの種類ではなく、強度の判定で捉えてます。

酸味

酸味を味の強弱と質に分けると判定しやすいです。

酸味の強弱を、優しい・丸みがある・シャープな・力強い
酸味の質を、爽やかな・なめらかな・きめ細かい・しっかりとした

  • 優しい・酸味の感じが弱い
  • 丸みがある・酸味を感じる
  • シャープな・確かな酸味を感じる
  • 力強い・強い酸味を感じる
  • 爽やかな・清涼感を感じる酸味
  • なめらかな・飲みやすさを感じる
  • きめ細かい・特徴的ではない
  • しっかりとした・個性的な酸味

苦味

苦味の強弱で、控えめな〜強いで判定します。

苦味は味のボリュームや奥行きさと捉えることもでき、味の濃淡に近い判定になります。

  1. 控えめな・苦味を感じにくい
  2. 穏やかな・かすかな苦味を感じる
  3. コクを与える・苦味を感じる
  4. 旨みをともなった・確かな苦味を感じる
  5. 強い・際立った苦味を感じる

『強い』苦味はネガティブなイメージが強いので、余程の物でない限り使わない

バランス

バランスとありますが、味の印象と考えて判定しましょう。

語群を前項の『第一印象』にあるように、「軽い」感じと「強い」感じに分けてみると以下のように分けられます。
軽い感じ、スムースな・ハツラツとした・ドライな・コンパクトな・フラットな
強い感じ、まろやかな・ねっとりとした・豊潤な・厚みのある・力強い

  1. スムースな・口当たりが滑らかで、俗に言う“飲みやすい”と言われるイメージ
  2. ハツラツとした・新鮮さがあり、若々しいイメージ
  3. ドライな・甘みが弱く、余韻の切れ味がスッキリ
  4. まろやかな・落ち着いた味で、丸い印象
  5. ねっとりとした・甘みが強く、口当たりも重厚な感じを受ける
  6. コンパクトな・特別秀でた要素はないが、まとまっているイメージ
  7. フラットな・平坦な感じで、特徴がとらえにくい感じ
  8. 豊潤な・色々な味が感じ取れる
  9. 厚みのある・味に奥行きを感じられる
  10. 力強い・しっかりと主張したモノを感じる

余韻

後味のキレが良いか、余韻が残るかを判定する項目です。

後味の感覚が消えるタイミングをわかりやすく秒数にしてみました。

  1. 短い・5秒以下
  2. やや短い・5〜10秒
  3. やや長い・10〜15秒
  4. 長い・15秒以上

あとがき

今回のブログは「SAKE DIPLOMA」二次試験対策としても活用できる内容になっていますが、実際に私自身も二次試験に挑戦した際の経験と反省をもとに書きました。この資料は、二次試験を終えた後、自分なりにまとめたものです。正直なところ、試験前にもっと準備しておけばよかったと感じることが多々ありました。お恥ずかしい話ですが、結果として私は二次試験に合格できませんでした。しかし、今回まとめたこの内容は、来年の試験に向けての勉強の土台として活用していこうと思っています。

この記事が、これからSAKE DIPLOMA二次試験に挑まれる方にとって少しでもお役に立てば嬉しいです。試験対策は決して簡単なものではありませんが、同じ目標を持つ皆さんと共に、この学びを共有することで、より深い理解と自信を持って試験に臨めるようお手伝いができれば幸いです。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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