グラスに注いだ瞬間、細かい泡がすーっと立ちのぼって、マスカットの香りがふわっと広がりました。
「あ、これは乾杯が楽しくなるやつだ」
今回レビューするのは、京都・松井酒造のスパークリング日本酒——神蔵(かぐら)露花(ろか)スパークリングです🍶
アルコール度数はなんと7度。日本酒とは思えない軽やかさなのに、飲んでみると甘みはしっかり「強い」。このギャップが、とにかく面白い一本でした。
そして、先に白状します。いろんな銘柄と出会いたくて「同じお酒はリピート買いしない」がこだわりの管理人が、見つけたら買ってしまう数少ない例外——それがこの露花です。
こんな方に特におすすめです。
- 「日本酒はちょっと苦手かも」という方——公式も「初めて日本酒を飲まれる方にもお勧め」と言い切る設計です
- 乾杯用のスパークリングを探している方——シャンパンでもビールでもない、第三の選択肢になります
- 京都のお酒が好きな方——洛中最古の蔵が造る、京都らしさの詰まった一本です
商品紹介

🏛️ 洛中最古の蔵、松井酒造——一度止まって、また動き出した酒造り
松井酒造の創業は享保11年(1726年)。もうすぐ創業300年を迎える老舗です。意外なことに、創業の地は京都ではなく但馬国(現在の兵庫県香美町香住)。江戸末期に京都・洛中へ移り、その後、良質な水を求めて現在の左京区吉田河原町に移転しました。公式サイトには「京都の町中で酒造りを続ける最古の蔵」とあります。
ただ、この蔵の歴史は順風満帆ではありません。地下鉄工事の影響で井戸水が使えなくなり、一度は酒造りを休止しています。
それが2009年(平成21年)、14代当主の決断で復活。現在は十五代 松井治右衛門さんが蔵元杜氏として指揮を執っています。仕込み水は比叡山から流れ出た地下水。「とても柔らかく、癖のない澄んだ味わい」と公式サイトに記されており、蔵の名前が「鴨川蔵」なのは、鴨川のほとりに建っているからです。
そして、その復活のときに誕生した銘柄が「神蔵(かぐら)」。蔵元の松井治右衛門さんは、名前の由来をこう語っています(JR東海「そうだ 京都、行こう。」公式ブログの取材より)。
「昔からお酒は”神様からのいただきもの”といわれています。神様への感謝の気持ちを忘れないようにと、この名前を付けました」
この神蔵、実力も折り紙付きです。京都・松尾大社で開催される日本酒コンテスト「酒-1グランプリ」で、松井酒造は2度のグランプリ(第4回・第8回)を獲得しています。
ちなみに管理人、この蔵には実際に見学に行っています。マンションの1Fで洗米から瓶詰めまで全工程をやっている、あの驚きの蔵です。詳しくはこちらの記事をどうぞ👇
🔗 マンションの1Fで、世界に通じる酒を造っていた。京都・松井酒造の蔵見学レポート

💧 「露花」というお酒——乾杯のために設計された、方丈記をまとうスパークリング
「露花」は、神蔵ブランドのスパークリングです。公式サイトのキャッチコピーは「新感覚!シュワシュワ弾ける神蔵のスパークリング」。
このお酒、実は明確な「役割」を持って生まれています。京都市には「日本酒で乾杯」を推進する条例があり、露花は食事の始まりの乾杯や、仕事終わりの一杯を想定して開発されました。乾杯のためのスパークリング日本酒、というわけです🥂
面白いのが、その設計思想。公式サイトによれば、炭酸の刺激は味覚を鈍らせてしまう。だから「その刺激を上回る濃醇な日本酒」を目指して、醪(もろみ=発酵中のお酒のもと)の温度経過や、搾ったあとの熟成温度・期間を試行錯誤したそうです。
つまりこのお酒、「日本酒に炭酸を足しました」ではなく、「炭酸に負けない日本酒を造りました」なんです。飲んだときの「甘み、強っ!!」という第一印象は、まさにこの設計どおりでした。
さらに、ろ過を行っていない無濾過仕上げ(公式サイトに「原料由来の成分があります。ろ過を行っていないためです」と明記)。名前が「露花(ろか)」で、濾過をしていない——これは狙ってるんじゃないかと管理人は勝手に想像していますが、真相は蔵元さんのみぞ知る、です😂
そしてラベル。公式サイトによれば、デザインは鴨長明『方丈記』の一節から取られており、「この世の無常観を清酒中に表現」しているとのこと。『方丈記』といえば、露と花で世の儚さを語るあの有名なくだり——「或は露落ちて花残れり」——が思い浮かびます。グラスの中で生まれては消えていく泡を眺めていると、たしかに、ちょっとだけ無常を感じます。乾杯酒に無常観を織り込んでくる京都の蔵、粋すぎませんか?🍶
基本情報

- 銘柄:神蔵 露花(ロカ)スパークリング
- 製造会社:松井酒造株式会社
- 使用米:―
- 精米歩合:60%
- アルコール度:7度
- 日本酒度:ー
- 特定名称:清酒(発泡性)
- 酵母:―
- 杜氏:―
- 製造日:2026.06
- 内容量:720ml
- 価格:¥3080(税込)
アルコール7度は、一般的な日本酒(15度前後)の半分以下。「特定名称の表記がない=格下」ではまったくなくて、スペックの枠に収まらない設計のお酒がこういう表記になることはよくあります。ラベルの読み方が気になった方はこちらもどうぞ👇
🔗 「お米を削る魔法」と「8つの呪文」:特定名称酒と精米歩合のディープな話
テイスティングシート
*個人の感想です
外観(清澄度)
| 透明感がある | 霞んだ | 濁った |
| その他 | ||
外観(濃淡)
| 無色に近い | 淡い | やや淡い |
| やや濃い | 濃い | |
| その他 | ||
外観(色調)
| クリスタル | ゴールド | シルバー |
| グリーン | イエロー | トパーズ |
| オレンジ | ブラウン | |
| その他 | ||
香り(第一印象)
| 若々しい | さわやかな | 華やかな |
| ふくよかな | 芳醇な | おだやかな |
| 熟成香を感じる | その他 | |
香り(特徴)
| グレープフルーツ | りんご | 洋梨 |
| 白桃 | バナナ | メロン |
| パイナップル | マスカット | ライチ |
| スイカズラ | スミレ | アカシア |
| 菩提樹 | セルフィーユ | 青竹 |
| 新緑 | 紅茶 | 月桂樹の葉 |
| ヒノキ | 香木 | ゴボウ |
| 朝鮮人参 | マッシュルーム | 椎茸 |
| 丁子 | シナモン | ビターチョコ |
| 栗 | クルミ | アーモンド |
| 炊いた米 | つきたての餅 | 上新粉 |
| 白玉団子 | 杏仁豆腐 | 生クリーム |
| サワークリーム | ヨーグルト | 発酵バター |
| クリームチーズ | 粘土 | 腐葉土 |
| 石灰 | カラメル | コーヒー |
| 醤油 | ヨード香 | 蜂蜜 |
| スモーク香 | カビ | タマネギ |
| 熟成チーズ | その他 | |
味わい(第一印象)
| 軽い | やや軽い | やや強い |
| 強い | その他 | |
味わい(甘味)
| 弱い | 上品な | まろやかな |
| ふくよかな | 強い | |
| その他 | ||
味わい(酸味)
| 爽やかな | 優しい | 丸みがある |
| なめらかな | きめ細かい | シャープな |
| しっかりとした | 力強い | |
| その他 | ||
味わい(苦味)
| 控えめ | 穏やかな | コクを与える |
| 旨味がある | 強い | |
| その他 | ||
味わい(バランス)
| スムースな | ハツラツとした | ドライな |
| まろやかな | ねっとりとした | コンパクトな |
| フラットな | 芳醇な | 厚みのある |
| 力強い | その他 | |
味わい(余韻)
| 短い | やや短い | やや長い |
| 長い | その他 | |
テイスティングコメント
*個人の感想です
🎨 Tasting Experience:泡の向こうから、果実がどんどん出てくる
✨ Visual:ゴールドとシルバーが同居するグラス
グラスに注ぐと、透明感のある液体に、ゴールドとシルバーが同居したような輝きが現れます。色そのものは無色に近いのに、無濾過由来のほのかな金色のニュアンスと、立ちのぼる泡の銀色の反射が重なって、キラキラと表情を変える。乾杯の瞬間にグラスを掲げたら、間違いなく映えるやつです✨
🌸 Nose:マスカットを先頭に、果実の大名行列
第一印象は「さわやか×華やか」。
まず来るのはマスカットとグレープフルーツ。そこに黄色いリンゴ、洋ナシ、白桃と、果実の香りが次々に続きます。ここまで並ぶと、日本酒というより白ワインのアロマを嗅いでいるような感覚。
でも、その奥がちゃんと日本酒なんです。青竹のような清々しい和のニュアンス、上新粉(お米の粉)の柔らかな香り、そしてサワークリームのかすかな乳性感。果実の華やかさの土台に、お米の発酵香がしっかり控えている。京都の蔵のスパークリングから青竹の香りがするの、出来すぎだと思いませんか?🎋
🍽️ Palate:「軽い」のに「甘みが強い」——設計の勝利
口に含んだ瞬間の印象は「軽い」。7度という度数どおり、スッと入ってきます。
ところが次の瞬間、強い甘みがぶわっと広がる。軽いボディなのに甘みは濃醇——普通なら矛盾するこの2つが、きめ細かい泡の上で同居しています。「炭酸の刺激を上回る濃醇さ」という公式の設計思想、伊達じゃありません。
そして、この甘さを支えるのが爽やかでシャープな酸。甘みが膨らみきったところに酸がスパッと切り込んで、後口を引き締めます。苦みは旨味をともなったタイプで、無濾過由来と思われる複雑味が、単なる甘い炭酸飲料とは一線を画す「日本酒の顔」を見せてくれる。
バランスは「スムース×溌剌」。余韻はやや短めで、次の一口にすんなり手が伸びます。乾杯酒の余韻が長々と居座らないの、むしろ正解ですよね。食事の始まりを邪魔しない、引き際の良さです。
ただし警告です。7度+強い甘み+シュワシュワは、するする飲めてしまう三重罠。管理人、気づいたらグラスが空でした😂
🍽️ ペアリング提案
公式の想定どおり、まずは食事の始まりの乾杯に。そのうえで、管理人のおすすめはこちらです。
- 生ハム&フルーツ(メロン・柿など) — 強い甘みとシャープな酸は、塩気×果実の組み合わせと好相性。前菜プレートの真ん中に置きたい一本です
- 天ぷら(塩で) — 揚げ物の油を泡と酸がリセットしてくれます。京都らしく、湯葉や京野菜の天ぷらなら気分も完璧
- フルーツを使ったデザート — マスカット香のお酒ですから、ぶどうのタルトや桃のコンポートと合わせる「デザート酒」使いも大アリです
- 仕事終わりの一杯、単体で — 公式が想定するもうひとつのシーン。おつまみなしでも成立する甘みと香りがあります
温度帯は冷酒一択(公式も◎冷酒。要冷蔵のお酒です)。しっかり冷やすと酸のキレが立って、乾杯の一口目が最高に決まります。リシール式キャップなので、一度で飲みきらなくても泡が残るのも日常使いに嬉しいポイント✨
こんな人に特におすすめ:
- 日本酒デビューしたい方・させたい方——「日本酒ってこんなに飲みやすいの?」から始まる入口です
- 乾杯用のお酒にひと工夫ほしい方——シャンパンの代わりに出したら、話題が一つ増えます
- 京都好きの方——洛中最古の蔵・方丈記・乾杯条例と、ストーリーだけでご飯が食べられます
テイスティングの言葉の意味が気になった方は、日本酒テイスティング完全ガイドもあわせてどうぞ。
お酒を呑み終えて
管理人には、お酒選びのちょっとしたこだわりがあります。
同じお酒をリピート買いしないこと。
日本酒の銘柄は、それこそ星の数ほどあります。一本呑み終えるたびに「次はどんなお酒に出会えるだろう」とワクワクしたい。だから「美味しかったからもう一本」は、基本的に封印しています。冷蔵庫のスペースは有限、出会いは無限ですから🍶
でも。
この神蔵 露花だけは、見つけたらリピート買いしてしまう、数少ない例外の一本です。
理由はシンプル。文句なしに美味い。
「日本酒に炭酸を加えただけのもの」と思うなかれ。目隠しで出されたら、スパークリングワインと間違えてしまうかもしれない。それくらい、日本酒の枠を超えています。それでいて、香りの奥には青竹や上新粉——ちゃんとお米の顔が残っている。
日本酒の枠を超えているのに、日本酒にしか造れない。
これはもう、日本酒の新境地だと思っています。
リピートしない主義の管理人が、また買ってしまう。その事実が、どんなレビューの星の数よりも雄弁なんじゃないでしょうか😂
次の乾杯も、きっとこの一本で。
・20歳未満の飲酒は法律で禁止されています。
・お酒は適量を守ってお楽しみください。
・妊娠中や授乳期の飲酒は胎児・乳児の発育に悪影響を与える恐れがあります。
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