夏酒の「あの爽やかさ」の正体は酸だった。クエン酸と白麹が生み出す、夏専用の味覚革命

暑い夏の日。

冷蔵庫から取り出した夏限定の日本酒を、よく冷えたグラスに注ぐ。

口に含んだ瞬間、「あ、なんかレモンっぽい!」「グレープフルーツみたいな爽やかさ!」——そんな感想、持ったことはありませんか?

管理人、ずっとこれが不思議だったんです。「日本酒なのになぜ柑橘っぽいのか。フルーティーな吟醸香とも違う、あのシュッとした爽やかさは何なのか」と🤔。

調べてみたら、その正体は「クエン酸」と、夏酒に使われる「白麹(しろこうじ)」の組み合わせでした。これ、知ってしまうと夏酒の見え方がガラッと変わります。


目次

そもそも「酸度」って何? 30秒でわかる超基本

夏酒の話に入る前に、30秒だけ基礎を。

日本酒の「酸度」とは、お酒の中に含まれる有機酸の総量を数値化したものです。一般的な日本酒の酸度は 1.0〜2.0 くらい。数値が高いほど酸の存在感が増します。

ただし「酸度が高い = 酸っぱい」ではありません。甘みとのバランス次第で、同じ酸度でも「スッキリ爽やか」にも「コクのあるジューシー」にもなる。この「どんな酸を、どう使うか」が、造り手の腕の見せどころでもあります。

ラベルを読むときの参考に→「ラベルの呪文を解読!日本酒用語ガイド」


夏酒の「爽やかさ」の正体:クエン酸と白麹の話

日本酒に含まれる酸には、主に5種類あります。乳酸、リンゴ酸、コハク酸、クエン酸、酢酸——それぞれ味が全然違う。

この中で、夏酒の爽やかさを語るときに外せないのが クエン酸(くえんさん) です。

クエン酸とは——「レモンと柚子を足したような酸」

クエン酸は、文字通り柑橘類に多く含まれる成分。漢字で書くと「枸櫞酸(くえんさん)」で、「枸櫞(くえん)」はシトロン(柑橘類の一種)のことです。

その味はレモンと柚子の中間みたいな感じ。苦みがなくライトで、しかし後口にびりびりっとした爽快感を残します🍋。

「あの夏酒、なんか柑橘系だった」——あの正体、かなりの確率でクエン酸です。


なぜ夏酒にクエン酸が多いのか? ——白麹という「革命的な選択」

ここが一番面白いところです。

実は通常の日本酒(黄麹仕込み)にはクエン酸がほとんど含まれていません。研究によると、一般的な吟醸酵母(協会901号)のクエン酸量は約72ppm。乳酸(240ppm)やコハク酸(401ppm)と比べると、圧倒的に少ない。

では、夏酒の柑橘系クエン酸はどこから来るのか?

答えは「白麹(しろこうじ)」

白麹は、もともと焼酎づくりのための麹です。九州や沖縄の高温多湿な環境で、雑菌から醪(もろみ)を守るために大量のクエン酸を作り出します。これ、焼酎の爽やかさの秘密でもあります。

この白麹を日本酒に使い始めた——これが、夏酒の爽やかな柑橘系酸味の正体です。

「白麹を使うことにより、これまでの日本酒にはなかったような酸味を出すことができます」(SAKETIMES)

黄麹が主流の日本酒業界に、焼酎由来の白麹が持ち込まれた。「邪道では?」と言われそうなこの組み合わせが、夏酒の新定番になりつつあるんです。

冒頭の検索で見つけた真澄の夏限定酒もまさにこれ。「クエン酸多量に出す白麹により、今までになかった柑橘系のような爽やかな酸味」と書いてありました。


もう一つの主役:リンゴ酸高生産性酵母

白麹だけが夏酒の爽やかさの源ではありません。もう一つ、重要な存在がいます。

リンゴ酸高生産性酵母(名前がそのまますぎて笑える😂)。

リンゴ酸は名前の通り青りんごに似た酸で、クエン酸よりもシャープで輪郭がはっきりした酸味。「酸の味わいが特徴的な夏酒の多くは、リンゴ酸高生産性酵母を使って造られている」(SAKETIMES)という指摘もあります。

まとめるとこうなります:

アプローチ酸の種類味の印象
白麹・黒麹を使うクエン酸柑橘系・ライトでびりびり
リンゴ酸高生産性酵母リンゴ酸青りんご系・シャープで爽やか
両方組み合わせるクエン酸+リンゴ酸フルーティーで複雑な爽やかさ

「夏酒ごとに爽やかさの質感が違う」と感じたことがある方、それはこのアプローチの違いかもしれません。テイスティングでこの違いを言葉にするコツ→


乳酸とクエン酸はどう違う?

生酛・山廃のお酒も「酸が強い」と言うけど、夏酒とは全然雰囲気が違う気がする」——そのとおりです!!

生酛・山廃の酸は主に乳酸由来。ヨーグルトや発酵食品のようなまろやかでコクある酸で、どちらかというと「重くて旨味たっぷり」な印象。燗酒に合うのも、この乳酸のまろやかさがお湯で引き立つからです。

一方、夏酒のクエン酸やリンゴ酸は「軽くて爽やかで、飲み疲れない」印象。

  • 乳酸 = 「旨味のベース」。重くてコクがある。燗酒に合う
  • クエン酸 = 「柑橘系の爽快感」。ライトでびりびり。冷酒に合う
  • リンゴ酸 = 「青りんごのシャープな酸」。輪郭がはっきり。こちらも冷酒に合う

夏酒を選ぶときの3つのヒント

① ラベルの「白麹使用」に注目してみる

最近は「白麹仕込み」「白麹使用」と書いてある夏酒が増えています。見かけたら、クエン酸が多い証拠。柑橘系の爽やかさを期待して選んでみてください🍋。

② 「夏酒」と書いてあっても種類はいろいろ

低アルコール、スパークリング、白麹、リンゴ酸酵母……夏酒といっても酸の種類や出どころは様々です。「どんな爽やかさが好みか」で選ぶと、ハズしにくくなります。

③ キンキンに冷やして飲む

クエン酸やリンゴ酸は、冷たい温度帯で活きます🧊。よく冷えたグラスに注いで、最初の一口の「シュッ」とした瞬間を楽しんでください。


まとめ:夏酒の柑橘系爽やかさは、意図的に設計された味

酸の種類印象多い酒のタイプ
クエン酸柑橘系・ライト・びりびり白麹・黒麹を使った夏酒
リンゴ酸青りんご系・シャープリンゴ酸高生産性酵母使用酒
乳酸まろやか・コクあり生酛・山廃系

「夏酒なのになんか柑橘系だな」と感じたら、それは偶然ではなく、白麹が生み出したクエン酸の仕業です。

焼酎文化から日本酒に持ち込まれた白麹という「異端の発想」が、夏の日本酒の可能性を広げている——管理人、これを知ったとき、なんかちょっと感動しました😊。

今年の夏、「白麹」を使った夏酒を一本、ぜひ手に取ってみてください🍶。


日本酒の酸についてさらに深掘りするなら→日本酒テイスティング完全ガイドもどうぞ。

「生酛・山廃の乳酸の世界」も気になった方は→「生酛・山廃」の深すぎる沼へようこそ!

・20歳未満の飲酒は法律で禁止されています。
・お酒は適量を守ってお楽しみください。
・妊娠中や授乳期の飲酒は胎児・乳児の発育に悪影響を与える恐れがあります。

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