これは日本酒か、コーヒーか──haccoba「珈琲店」が証明した、ジャンルの壁なんて意味がない

「これ、日本酒ですか?」

グラスを受け取った瞬間、思わずそう聞き返してしまいました。

深いブラウンとオレンジが混ざり合った液体の色。立ち上るコーヒーとカラメルの芳醇な香り。でも確かに米から生まれた、発酵の気配がある。

福島県南相馬市のクラフトサケ醸造所・haccoba(ハッコウバ)が醸す「珈琲店」は、管理人がこれまで飲んだ日本酒(いや、”日本酒”ではないのですが)の中で、いちばん「ジャンルって何だっけ」と考えさせられた一杯でした🍶

目次

商品紹介

☕ haccoba(ハッコウバ)とは──福島から発酵文化を再定義する

haccoba(ハッコウバ)は、2021年2月に佐藤太亮氏によって福島県南相馬市・小高(おだか)に設立された、新世代のクラフトサケ醸造所です。

名前の由来は「発酵場(はっこうば)」そのまま。造る場所が、そのままブランド名になっている潔さ。

この蔵の面白さは、日本酒の定義に縛られない自由な発酵へのアプローチにあります。haccobaが参考にするのは、東北地方に古くから伝わる「花酛(はなもと)」という伝統的な酒母の造り方。花や草、ホップなどの植物を酒母に加えることで自然の力を発酵に活かす──この手法を現代に蘇らせ、さらに独自の食材と組み合わせることで、まったく新しい発酵飲料を生み出しているんです。

ホップを使ったクラフトサケ、フルーツを使ったどぶろくスタイルのお酒…。haccobaが生み出す酒は、清酒の定義(酒税法上の基準)に収まらないものが多く、「その他の醸造酒」として分類されます。

「その他」なんて地味な響きですが、実態は正反対。ここには、固定概念から自由になった発酵の未来がある、と管理人は思っています✨

基本情報

  • 銘柄:ハッコウバ珈琲店
  • 製造会社:haccoba(福島県南相馬市)
  • 使用米:―
  • 精米歩合:88%
  • アルコール度:10%
  • 日本酒度:―
  • 特定名称:その他の醸造酒
  • 酵母:―
  • 杜氏:―
  • 製造日:2025.5
  • 内容量:500ml
  • 価格:¥2860(税込)

精米歩合88%というのは「ほぼ削らない」レベル。ラベルの読み方をご存知の方なら「それ、精米歩合高すぎじゃない?」と思うかもしれません。でもhaccobaの場合、精米の少なさで出る米の個性こそが狙い。コーヒーと米の発酵が複雑に絡み合うために、原料の素朴な味わいは不可欠なんです。

コーヒーは、いわき市(福島県)にあるコーヒースタンド「sons」とのコラボ。エチオピア産の豆を通常より少し深めにローストしたものを使用しています。「夜のデザート飲料」として設計された一杯、というコンセプトが腑に落ちます。


☕ 「その他の醸造酒」って何?清酒との違いを一言で

ここで少し解説を。

日本の酒税法では、「清酒(日本酒)」として認められるには以下の条件を満たす必要があります。原料は米・米麹・水のみ(または少量のアルコール・糖類)。コーヒー豆のような植物性の追加素材を加えると、清酒の定義からはずれ「その他の醸造酒」に分類されます。

haccobaのお酒はあえてこの定義を超える場所で勝負している。分類は「その他」でも、飲んだ体験は「唯一無二」です。

テイスティングシートの用語や評価方法に興味がある方は、こちらもどうぞ。今回の珈琲花がどれほど個性的かが、さらに鮮明に伝わると思います。

テイスティングシート

*個人の感想です

テイスティングコメント

*個人の感想です

🎨 Tasting Experience:コーヒーと米が溶け合う、夜の深み

🟤 Visual:グラスの中に宿る、コーヒーの色

グラスに注いだ瞬間、管理人は思わず目を見開きました。

オレンジとブラウンが混ざり合った、深いコーヒー色。これが米から生まれたお酒とは、誰も信じないでしょう。濁りがあり、光の当たり方によってはカラメルのような赤みも顔をのぞかせます。グラスを持っているだけで、もうコーヒーショップにいるような気分になります☕

🌸 Nose:シナモン・蜂蜜・ビターチョコが折り重なる、ふくよかな芳香

テイスティングシートの第一印象は「ふくよかな」。言い得て妙です。

鼻を近づけると、コーヒーの深みとカラメルの甘さが最初に来る。その後ろから、シナモンとビターチョコレートの芳醇なニュアンスが続きます。さらに深く嗅ぐと、クルミとアーモンドのような焙煎系のコク、そして蜂蜜のやわらかな甘みが顔を出す。

椎茸のような土のうまみも微かに感じられて、「これ複雑すぎる…」と思わず笑ってしまいました。コーヒー単体じゃない。日本酒単体でもない。その両者が発酵の中で化学反応を起こした、第三の何かがここにあります。

🌊 Palate:力強い酸と、消えない長い余韻

口に含んだ最初の印象は「強い」の一言。

ビターコーヒーの力強い苦み。そこに寄り添うまろやかな甘み。続いて押し寄せるしっかりとした酸。この酸が想像以上に骨太で、ジュースのような甘い酸ではなく、発酵飲料ならではのキリッとした酸です。

バランスは「豊潤」かつ「厚みがある」。10度という低アルコールでこれだけの存在感を出せるとは。気を抜くと「また飲みたい」と手が伸びる中毒性があります(管理人、ちゃんと飲み切りました😂)。

余韻は長い。コーヒーの香ばしさと、発酵由来のほんのりした酸が口の中に長く居座ります。食後にゆっくり楽しむための一杯、という設計が最後まで貫かれている。


🍽️ ペアリング提案

「夜のデザート飲料」として設計されているだけあって、ペアリングはデザートと最高に相性がいいです。

  • ティラミス — コーヒーのビターさとカラメルの甘みが完璧に同調。一体感がすごい
  • ダークチョコレート — ビターチョコ香があるお酒なので、カカオ70%以上のチョコと合わせると互いが引き立て合う
  • 塩キャラメルのプリン — 甘みと塩気のコントラストが、豊潤な余韻を受け止めてくれます
  • シュークリーム(パリブレスト系) — アーモンドやクリームとの相性が抜群

和食より洋食・洋スイーツ寄りです。ワインを飲むようなシチュエーションにも自然に馴染みます。日本酒が苦手な方へのゲートウェイドリンクとしても使える一本✨

お酒を呑み終えて

実は管理人、Advancedコーヒーマイスターの資格を持っています。

日本酒の資格を積み重ねる一方で、コーヒーの世界にもずぶずぶにハマってしまったんですよね(沼は深い)。

エチオピア産の豆がどんな果実感を持つか。深煎りにすることでどんな苦みとコクが引き出されるか。そういうことを知ってしまっているから、「コーヒーを使った日本酒」という文字を見ると、もう条件反射で手が伸びてしまいます😂

で、haccobaの珈琲店を口に含んだ瞬間。

「あ、これエチオピアらしいフローラルなニュアンス、ちゃんと残ってる」と、コーヒーマイスターの目線が先に反応しました。深煎りなのに重すぎない。豆の個性を殺さず、発酵の力が透けて見える。

次の瞬間、日本酒名人の目線が追いかけてくる。「この酸、麹由来か、それともコーヒー由来か。どっちだ」と。

ふたつの資格が同時に起動して、どちらも答えを出せないまま、気づいたらグラスが空になっていました。

これが「ジャンルを超えた酒」の本当の意味なのかもしれない、と思っています🌸

日本酒の定義にとらわれない場所で、haccobaは真剣に「発酵の未来」を問い続けています。

「これは日本酒か?コーヒーか?」と問いかけること自体、もう意味を失っているのかもしれない。グラスの中にあるのは、ただ「おいしい」という体験だけ。珈琲店を飲み終えた後、管理人はそんなことを考えていました🌸

・20歳未満の飲酒は法律で禁止されています。
・お酒は適量を守ってお楽しみください。
・妊娠中や授乳期の飲酒は胎児・乳児の発育に悪影響を与える恐れがあります。

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