ゆきの美人 純米吟醸 秋田酒こまち レビュー|日本酒度+9でも「上品な甘み」を感じた、マンション1階の蔵の一本

目次

商品紹介

グラスに注ぐと、無色に近いクリスタルの透明感。

鼻を近づけると、グレープフルーツと黄色いリンゴの爽やかさの奥から、すみれやスイカズラの花の香り、そして青竹のような青みがふわっと重なってくる——

今回レビューするのは、秋田県・秋田醸造の「ゆきの美人 純米吟醸」(秋田酒こまち使用)です🍶

実は管理人、以前参加した日本酒のきき酒会で、同じ秋田醸造の「ゆきの美人」シリーズの一本がいちばん心に刺さりました(今回の銘柄とは別物で、品評会に出ていた方です)。あの一本が気になって、蔵の定番ともいえるこの純米吟醸を、テイスティングシートを手にじっくり飲んでみました。

こんな方に特におすすめです。

  • 華やかなのに、甘ったるくない日本酒を探している方
  • 「日本酒度+9」と聞くと辛口すぎるのでは、と身構えてしまう方
  • 秋田の日本酒を、定番から一本ちゃんと知りたい方

🏢 ゆきの美人を醸す「秋田醸造」——マンションの1階にある蔵

秋田醸造は、大正8年(1919年)創業の蔵元です。所在地は秋田県秋田市楢山登町。県の酒造組合の紹介ページによると、2001年に新しい社屋を建て、2004年に三代目の小林忠彦氏が蔵元杜氏(蔵の経営者が自ら杜氏を務めるスタイル)に就任したとされています。

そしてこの蔵、なんとマンションの1階にあるんです。

日本酒ジャーナリストの関友美さんのnote記事によると、敷地内には66戸のマンションが建っていて、その1階部分に製造所が併設されているとのこと。約180坪の広さがあり、秋田杉の麹室も備えているそうです。

「マンションの1階で日本酒を造る」と聞いて、あっ!と思った方、鋭いです。管理人が以前訪問した京都・松井酒造も、まさにマンションの1階で洗米から瓶詰めまでを行っていました。

🔗 マンションの1Fで、世界に通じる酒を造っていた。京都・松井酒造の蔵見学レポート

「歴史ある酒蔵=古い木造の蔵」というイメージがあるかもしれませんが、こういう現代的なスタイルの蔵にも、しっかり酒造りへの情熱が宿っているんだなと感じます。

🌡️ 四季醸造・全量純米・手洗い米

秋田醸造の酒造りの特徴を、公式の紹介や関さんの記事から整理するとこんな感じです。

  • 全量純米酒(アルコールを添加しない、米と米麹だけで造るお酒)の仕込み
  • 約600石という小規模ながら四季醸造(冬だけでなく一年を通して仕込む造り)を実現。断熱と空調を備えた鉄筋コンクリートの建物で、温度を細かく管理している
  • 原料米は全量手洗い・限定吸水(米に水を吸わせる時間と量をきっちり管理する技術)
  • 仕込み水は秋田市の太平山麓で汲んだ水
  • 目指すのは「香りがおだやかで、口あたりがやわらかく、すっとした切れ味がある」酒

四季醸造だから、貯蔵して寝かせるのではなく、冷蔵管理でフレッシュな状態のお酒を一年じゅう届けられる。これは小さな蔵ならではの、身軽で誠実なやり方だと思います。


基本情報

  • 銘柄:ゆきの美人 秋田酒こまち
  • 製造会社:秋田醸造株式会社
  • 使用米:秋田酒こまち
  • 精米歩合:55%
  • アルコール度:15度
  • 日本酒度:+9
  • 特定名称:純米吟醸酒
  • 酵母:―
  • 杜氏:小林忠彦
  • 製造日:
  • 内容量:720ml
  • 価格:税込み1870円

🌾 秋田酒こまち——秋田生まれの酒米

このお酒の原料米は「秋田酒こまち」。秋田県が開発したオリジナルの酒造好適米(お酒造りに向いた酒米)です。

県酒造協同組合の紹介によると、昭和63年に始まった酒米の新品種開発事業の一環として、平成10年に開発に成功したとのこと。目標は「山田錦並みの醸造特性と、県内の主力品種美山錦並みの栽培特性を併せ持つ」ことだったそうです。

大粒で高精白(お米を大きく削ること)ができ、蒸した米に弾力があって表面が乾きにくいため、麹がつきやすいのも特徴とされています。

酒米の基本から知りたい方は、こちらもどうぞ👇

🔗 「酒米について」酒米から学ぶ日本酒を楽しむための基礎知識。

テイスティングシート

*個人の感想です

外観(清澄度)

透明感がある霞んだ濁った
その他

外観(濃淡)

無色に近い淡いやや淡い
やや濃い濃い
その他

外観(色調)

クリスタルゴールドシルバー
グリーンイエロートパーズ
オレンジブラウン
その他

香り(第一印象)

若々しいさわやかな華やかな
ふくよかな芳醇なおだやかな
熟成香を感じるその他

香り(特徴)

グレープフルーツりんご洋梨
白桃バナナメロン
パイナップルマスカットライチ
スイカズラスミレアカシア
菩提樹セルフィーユ青竹
新緑紅茶月桂樹の葉
ヒノキ香木ゴボウ
朝鮮人参マッシュルーム椎茸
丁子シナモンビターチョコ
栗クルミアーモンド
炊いた米つきたての餅上新粉
白玉団子杏仁豆腐生クリーム
サワークリームヨーグルト発酵バター
クリームチーズ粘土腐葉土
石灰カラメルコーヒー
醤油ヨード香蜂蜜
スモーク香カビタマネギ
熟成チーズその他

味わい(第一印象)

軽いやや軽いやや強い
強いその他

味わい(甘味)

弱い上品なまろやかな
ふくよかな強い
その他

味わい(酸味)

爽やかな優しい丸みがある
なめらかなきめ細かいシャープな
しっかりとした力強い
その他

味わい(苦味)

控えめ穏やかなコクを与える
旨味がある強い
その他

味わい(バランス)

スムースなハツラツとしたドライな
まろやかなねっとりとしたコンパクトな
フラットな芳醇な厚みのある
力強いその他

味わい(余韻)

短いやや短いやや長い
長いその他

テイスティングコメント

*個人の感想です

🎨 Tasting Experience:華やかな香りと、上品な甘み

✨ Visual:透明感のあるクリスタル×シルバー

グラスの中は、透明感があり、ほとんど無色に近い液体。色調はクリスタルとシルバーの二つに印をつけました。光の加減できらっと銀色がのぞく、清潔感のある見た目です。

🌸 Nose:柑橘・花・ハーブ、そして「お米の粉」

香りの第一印象は「さわやかな」と「華やかな」の二つ。

特徴として印をつけた8つは、こんな顔ぶれでした。

  • 🍊 グレープフルーツ、黄色いリンゴ ——果実感の主役は、爽やかな柑橘と、ほのかに甘酸っぱいリンゴ
  • 🌼 スイカズラ(甘い蜜の香りがする白〜黄色の花)、すみれ ——花の香りが二種類も
  • 🌿 セルフィーユ(パセリに似たフランス料理のハーブ)、青竹 ——ほんのり青みのある、涼やかなニュアンス
  • 🍡 上新粉、白玉団子 ——お米らしい、やわらかな粉っぽさと甘い香り

面白いのは、いわゆる「メロン」「マスカット」「バナナ」のような熟した南国系フルーツは一つも選ばなかったこと。爽やかな果実、花、ハーブ、そしてお米のニュアンス。「フルーティー」という言葉ひとつではくくれない、多層的な華やかさがあります。

果実だけじゃなく、花やハーブ、お米の香りまでが重なっているから、ひとことで言い表しにくい。その分、グラスを近づけるたびに違う表情が見つかる香りでした。

🍽️ Palate:軽やかで、甘みは上品、苦みは穏やか

口に含んだ第一印象は「やや軽い」。ずっしり重たい感じはなく、するっと入ってきます。

甘みには「上品な」に印をつけました。ここがこのお酒の面白いところ。コメント欄に、こんなメモを残していました。

「日本酒度 +9」

日本酒度は、+が大きいほど辛口寄りになる指標(甘辛の目安になる数字)。+9は、数字の上では辛口にぐっと傾いた設計です。それなのに、舌の上で感じたのは「上品な甘み」。

もちろん、日本酒度はあくまで糖分の量から導く目安で、実際に感じる甘さや辛さは、酸の量や香り、飲む温度によっても変わります。ただ、数字を見て「辛口だな」と身構えたら、いい意味で裏切られました。シャープに辛いというより、お米の甘みがすっと上品にのっている。そんな印象です。

酸味は「丸みがある」と「なめらかな」の二つ。とがった酸ではなく、角の取れたやわらかい酸が、甘みの下に静かに寄り添っています。数字は辛口なのに角を感じなかったのは、この丸い酸のおかげもあるのかもしれません(管理人の推測です)。

苦みは「穏やかな」。出しゃばらず、ほんのり輪郭をつける程度です。

全体のバランスは「スムースな」と「コンパクトな」の二つに印をつけました。角がなくて引っかかりのない、スムースな口当たり。それでいて味わいが散らからず、ぎゅっとコンパクトにまとまっています。日本酒度+9という数字から想像する「尖った辛口」とは違って、上品な甘みも穏やかな苦みも、小さくきれいに収まっている感じです。

そして余韻は「やや短い」。きれいに引いていって、気づけば次の一口が欲しくなります。


🍽️ ペアリング提案

シートに残した香りと味わいから、合わせて楽しめそうな組み合わせを考えてみました(管理人の提案です)。

  • 白身魚のカルパッチョ(レモン・ハーブ添え) —— グレープフルーツやセルフィーユのニュアンスと、爽やかにリンクしそう
  • 湯豆腐や冷奴 —— やや軽い口当たりと上品な甘みが、大豆の優しい風味を邪魔しません
  • 鶏の塩焼き —— シンプルな塩味に、お米の甘みがすっとなじみます
  • 秋田名物のいぶりがっこ×クリームチーズ —— 燻製の香りとチーズのコクを、軽快なお酒でさらっとリセット

温度帯は、まずは冷やして。華やかな香りの層をじっくり味わうなら、キンキンではなく少しだけ温度が上がった頃合いも楽しめそうです。

📋 まとめ

項目印象
外観クリスタル×シルバーの透明感
香り柑橘・花・ハーブ・お米が重なる、多層的な華やかさ
味わいやや軽い口当たりに、上品な甘みと丸みのある酸、穏やかな苦み。バランスはスムースでコンパクト
余韻やや短く、すっと引いていく
ストーリーマンション1階の蔵で、秋田生まれの酒米「秋田酒こまち」を醸した一本
おすすめシーン食前〜食中の一杯、和洋どちらの軽めの料理にも

こんな人に特におすすめ:

  • 華やかな香りが好きだけど、甘すぎるお酒は苦手な方
  • 数字(日本酒度)と実際の味わいのギャップを体験してみたい方
  • 秋田県産の酒米「秋田酒こまち」を使ったお酒を試したい方

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お酒を呑み終えて

きき酒会で出会った「ゆきの美人」が、どうしても頭から離れませんでした。

気になりすぎて、公式ホームページで特約店を調べ、いちばん近くの酒屋さんまで買いに行ってきました🏃

残念ながら、目当てだった品評会出品酒は置いていませんでした。それでも、「ゆきの美人」を呑める機会ができたのは、やっぱりうれしい。この純米吟醸が、その第一歩になりました。

「銘柄名が分かっているなら、ネットでポチれば確実なのに」と思う方もいるかもしれません。

でも、管理人には小さなこだわりがあります。お酒は、できるだけネットで簡単には買いたくない。

今回も、特約店を調べたおかげで、知らなかった酒屋さんに出会えました。そこで売っているお酒のラインナップまで知ることができた。ネットで注文すればすぐ届くけれど、手にするまでの出会いやストーリーごと楽しみたいんです。だから、自分の足でお酒を探して手に入れたい。

いつか、品評会で出会ったあの一本にも、巡り会えたらいいなと思いながら、グラスを傾けています🍶


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・20歳未満の飲酒は法律で禁止されています。
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